« エピソード6「新人ピアニストの登場」の巻 | トップページ | エピソード8:「レコーディング」の巻 »

2010年6月 7日 (月)

エピソード7:「ゼンさんはドラマーの大野とハウストリオを作る話になった」の巻

赤木君のピアノは伸びるかも知れない、先ずこのスタンウエイー・コンサートグランドの重いキーをきちんと叩いている、特にピアニッシモで判る。

俺みたいに自己流で弾いているとキーの重さに負けてしまって音が出ない。

最終ステージも同じメンバーで閉めた。

1時にならんとしていた。

「お疲れさん」と大野に声をかけた。

「お疲れ様でした」赤木君が大きな声でゼンさんと大野、森に挨拶した。

「そうだ、赤木君、今度『THANKS FOR THE MEMORY』を覚えておいてよ、店のクロージングテーマに決めているんだ」ゼンさんが赤木君に言った。

「すいません、僕その曲知らないんですけど・・・」チョット困ったような顔でゼンさんを見た。

「いいんだ、今度譜面見つけておくから」

「なんだっけ」大野が助け舟を出そうとしているが大野もフレーズが明確に浮かばないらしい。

「ボブ・ホープ ショウのテーマでね、有名なのはサラ・ボーンのライブ盤とゲッツ・プレイズ、サラのは面白いよ、ライブの最後に歌いはじめるんだけど、8小節目で歌詞を忘れてしまって出てこない、笑いながら歌い直すんだけど5回くらいやりなおす、やっと歌詞を思い出して、最後に歌詞を代えて『こんなヒドイ録音は無いわ・・』ってこれをカットしないで、レコードにして出す、内容は素晴らしいからね。ジャズってこれでいいんだよ」一気にゼンさんは話した。

1015_056

「ゼンさんって生き字引みたいですね」赤木君が言った。

「そうだ、これを読むといいよ」とゼンさんはいつの間にか「ジャズ・カントリー」とタイトルにある本を赤木君に渡した。

「ナット ヘントフが書いたものだ、あの・・勉強会ではないからね、読んでおくといつかアノ事かと思うことがあるかもしれない」押し付けにならない様に話した。

「有難うございます、読んでおきます」

閉店後、居間でスタッフが夜食会をいつもの様に楽しんでいた。

「今日のマカナイは何かな?」ヨーコがテーブルを覗きこんだ。

ヤマが「今日はオカユだよ、中華風のね」

「トッピングが沢山あるんだ!」とお皿を見てヨーコが声を上げた。

・・・・・・・ソニー・ロリンズの「サウンド オブ ソニー」がかかっている・・・・・・・・・

ゼンさんがしばらくして「皆な聴いて、今日のトリオはどうだった?」

「ウーン、久しぶりの大野さんのタイコはやはり良かった」ヤマちゃんが言い出した。

長さんが「そうね、まだ若いね」とボッツと言った。

「そうね、まだ成り立てのホヤホヤだ」ゼンさんが言った。

「トシちゃんに頼まれたんだ、ピアノ・・・だから一層のことハウストリオを決めてしまおうかと思って・・・」ゼンさんは自分の意向を話した。

「いいなあ、スリーサウンズみたいに」ヨーコの声がはしゃいでいる。

「やはり、そう来たか、俺もだ」ゼンさんが応えた。

ゼンさんは自分の構想やイメージを伝えた。

みんな大賛成、「でもマスターのピアノも偶には聴きたいな」ヤマが言った。

「俺のピアノなんて所詮人前でやるようなものではない素人芸だから」

「いやあ、いい雰囲気している」と長さんが加わった。

長さん事長山は調理師であり、厨房にいながら冷静に何時も店の空気を読み、音も聴いている、手ごわい評論家だ。

「まあいいさ、機会があればねいくらでも弾くから、やろうよハウストリオを・・・」

>>>BGMはロリンズが「雨の朝、パリに死す」のLAST TIME I SAW PARIS を吹いている。<<<<

ゼンさんは、このCDにはあともう一曲好きな曲がると思っていた、「EVERYTIME WE SAY GOODBYE」だ。

B000000y1p01_ss500_sclzzzzzzz_

ゼンさんは最後に締めくくった。

「改装といっても、壁のディスプレイを変えるくらいで、お店を休まず、早い時間に少しづつやろう、日々少しづつ変わってゆくのって楽しいでしょう」

ゼンさんは頭の中では、入口から階段を降りてゆく途中の壁には、6枚のLPジャヶットを特殊な額に入れて飾ろうと、イメージが膨らんでいた。

「さて、6枚か、確かに6枚が適当だが・・選ぶとなると迷うな・・」

ホレス・シルバー/ブローイング・ブルース・アウエイ だけは真っ先に決めていた。

残る5枚はもめるかな、みんなに聞くと・・・。

「・・・・と言う訳で、残りの5枚候補を今週中に各自アイディアを出してね、じゃあ今日はお疲れ様」

ヨーコはヤマに向かって「何がいいと思う?」と楽しそうだ。

<次回に続く>

« エピソード6「新人ピアニストの登場」の巻 | トップページ | エピソード8:「レコーディング」の巻 »

「音楽」カテゴリの記事

コメント

皆さんもジャズのジャケットには拘りがあるでしょう、皆さんの好きなジャケットは何でしょうか?

今週はジャケットの話題、そして、クロージングテーマ曲の話題などをどうぞ・・・。

shin 様
6枚のアルバムですか・・・結構悩みますね。
一枚はシルバーで決まり。
残りの五枚は、ジャズ・ジャイアント(パウエル)、ミステリオーソ(モンク)、ディグ(マイルス)、ベイシー・イン・ロンドン、アップ・タウン(エリントン)にしたいところですね。

店の最後にかけるのは、サッチモしかないですね。
あの暖かいダミ声が堪りません。明日も元気になれそうだと言う気持ちにさせてくれます。

KAMIさん

やはり、筆頭はパウエルですね。キリコの絵のモンクも良いですね、もともとが良い絵ですからね。
名画を流用したジャケもいいのですが、できれば、オリジナルで雰囲気を出して欲しい・・・という希望もありますね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1371081/35118085

この記事へのトラックバック一覧です: エピソード7:「ゼンさんはドラマーの大野とハウストリオを作る話になった」の巻:

« エピソード6「新人ピアニストの登場」の巻 | トップページ | エピソード8:「レコーディング」の巻 »