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2010年7月23日 (金)

エピソード22:「スペシャル・セッションの前半が終わっていよいよ後半」

・・・今はインターバルの時間だ・・・

<前回より続く>

皆の顔が上気しているのがわかる。ペットの岡野君までが「いいなこういうセッション、毎日でもいいや」と言う。

ゼンさんやスタッフはお客さんの飲み物に気を配っている。演奏中は飲むことさえ忘れていたようだ。

「いや、すごいな、こいうJAZZ初めてだけど、管の迫力ってすごいですね」と初めて来たお客さんが、隣の常連のお客と話している。

メンバーはひとまず母屋に引き上げて、次の曲の譜面の準備やら汗を吹いたり、一息いれている。

アルトの大岡君がドラムの大野に聞いた「これでいいんですか、あまりノリがいいでつい調子に乗りすぎて・・・」と反省の風である。

大野が応えた、「いいよ、みんな自分のやりたい様にね」「そう、自分を最大に出せばいい」と山口君も。

ピアノの若い赤木君が「いや、気持ちいいですね、弾いていて自然にのれるって」

皆んな満足げである。

「でも、後半もシマッテゆこうね」大野が言って、全員腰を上げた。

メンバーが店に戻ってきた。

順に狭い店内にお客さんの間を通ってステージの位置についた。

まだ、お客さんは立って、オシャベリに夢中である。グラス片手に「あれは1963年だ、ジャズメッセンジャーズが三管編成で日本に来たのは、あの時は凄かったよ、ウエイン・ショター、カーティス・フラー、フレディ・ハバートが前列に三人並ぶんだから・・・・」と口角アワを飛ばして話しているのはもう50も半ばを過ぎた戸田君だ。自分でもドラムを叩く会社役員だ。

6人が位置について、ピアノがそっとE♭を出した、これで音は直ぐに合うのは、流石プロだ。

山口君がアップテンポのカウントを出した。

「MILESTONE」だ!

三管のキレの良いリフがバッチリ決まっている。後半は最初から別世界へ直行だ。

テーマが終わると例のレコードの通り、アルトのソロから入る、その入り方がまるでアノ、キャノンボールと同じフレーズで入った。みんな知っているあのフレーズだ、分かったのか、8小節で拍手がおきた

バックのメンバーがニヤニヤとした。

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大岡君独特の長いフレーズはエキサイティングだ。

ピアノの赤木君はもう完全にケリーの世界で三連符を連発している。

テナーが続く、そして管の最後はペットの岡野君だ、何を考えたか、またまたマイルスと同じフレーズで入ってきた。

これにはみんな笑った。「ヤー」「イエー」と掛け声が掛かった。

オリジナルのテンポよりはかなり早い、そうあの「マイスル イン ヨーロッパ」の感じに近い。

「MILESTONE」が終わった。

ここで山口君がマイクに向かった。

次はこの店のハウストリオのリーダー大野さんをフューチャーしてお贈りします。

曲目は言わない。

ベースがイントロをつくる、ドラムがアフロリズムで入る。8小節で管が揃ってグルービーなハモで奏でる。

「CARAVAN」だ。

サビで4ビートになりまたアフロにもどる。

テーマを終えると直ぐにドラムにソロを渡した。

大野は押さえてソロに入った。バスドラを連打しながらバスタムを中心にジャングルドラム風な入りだ。

約3分、中タムとバスタム、そしてスプリングを外したスネアでソロを続けた。各タムとスネアは気持ちよく三度にあわせてある。

音量は抑え目でじょじょに上げて、でも一気にはゆかない、また落とした、そして、次はシンバルを使ったソロに入った。彼はシンバルはKジルジャンをトップにサイドにはパイステを使っている。ハイハットシンバルも大きめだ。

シンバルの響きの違いを上手く使ってメロディックなソロだ。

そして、クライマックスはハイハットでのソロになった。

あの、ジョー・ジョーンズ、ミスター・ハイハットの、彼を彷彿とさせるハイハットソロを展開した。

ドラムソロなのに場内は静まりかえって、固唾をのんでいる。

ハイハットだけで見事なソロを3分は続けただろうか、最後のエンディングでスネアロールを目一杯に上げて、またアフロになり直ぐにベースが入り、三管のテーマになった。

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場内は大拍手だ。口笛が飛んでいる。

曲が終わると山口君が再度大野の名を呼んだ。拍手が鳴り止まない。

大野が何度もドラムの椅子から立ち上がり挨拶した。お客も立って拍手だ。

「つづいて・・・」山口君が声を発してやっと静かになった。

「では、やはりハウストリオをフューチャーして、BILLY BOY」とアナウンスした。

とたんに、ピアノの赤木君が軽快にテーマを演奏し、頭でブレイクしグイグイとソロに入った。

ゼンさんは場内をチラリと見やった。

みんなの神経が集中しているのが分かる、いや感じられる。このエネルギーが演奏者を動かしているんだ。

お客だって参加しているんだと、自流の考えが正しいことを確認した。

ミュージシャンは皆のエネルギーを受けて、いつも以上の感性が発揮されている、正にここがその現場だ。

「視線をシッカリと受けて、それに正面から応えることをしないと駄目だね、アーティストは」と富田さんが言った。

ゼンさんが何を考えているか見通しているかのようだ。

次の曲は紹介なしで始まった。

テナーで始まった「GOOD LIFE」だ。

ゼンさんはこれは、彼らから俺へのプレゼントだと感づいた。大好きな曲をテナー一本で山口君が吹いてくれている。例のトツトツした語り口で。

ゼンさんはじっと聴き入った。

静まり返った場内が急に明るくなった。

8ビートが始まった。

ピアノがF7とB♭7を繰り返している、単純な7THコードがやけにカッコいい。

「WATERMELON MAN」だ。

ハンコックの単純な構成の曲だけど、ハモのつくりでかなりカッコよく仕上がった。

ノリノリの曲だ、手拍子が起き始めた。

大野のドラムは特に8ビートのシンバルレガートがいい、キレがあるのだ。

この曲の特長であるブレイクポイントで管が粘る、そして遅れ気味で引っ張り、リズムが入る、「イエーッ」とくる。

ファンキーそのものだ。

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夜はふける、もう11時をまわった、でも時間を感じさせない。

お客さんも、スタッフも皆でミュージシャンを取り囲み耳を集中させている、ゼンさんは階段を2段ばかり上がって、俯瞰して見た。

もう店内は絵になっている。

そっとカメラを取り出した。

次の曲が始まった。

ベースの山田君から入る曲だ、誰もが知っているあの曲だ、ベースが独特のリフを繰り返す、そう休み時間に戸田君が得意げに話していた・・・。

「THREE BLIND MICE」、「マザーグース」にオリジナルを発するこの曲がこうもファンキーに且つモーダルになるものかと・・・

三管がテーマを奏する時には曲の持つ黒っぽさが満ち溢れている。

曲がつづく、「WORK SONG」

ドラムが「ドン、パン」ときたらもうこの曲しかない。

アルトの大岡君の出番だ、キャノンボール丸出しでソロフレーズをスイングさせている。

ペットとテナーがバックリフをつける、ファンキースイングここにきわまれり!

もう12時を過ぎた。

山口君が「では今日最後の曲ですが、でもその前に、みんな今日この場を与えてくれたゼンさんに拍手を!」と言うと万来の拍手がきた。

ゼンさんはテレながらチョット会釈をした。そしてマイクに向かって「ありがとう」と一言。

「では最後は手を叩いて終わろう」

「BLUES MARCH」まるで年末コンサートでラデツキー行進曲をやるみたいだ。

お店全体で拍手、2拍子の拍手でゆれている。

最後のテーマになりエンディングになって終了しても拍手が鳴りやまない。

アンコールの掛け声だ。

山口君が手を挙げて、「ありがとう、ではもう一曲この曲で全員で乗りまくろう!!」

アップで軽快なリフを繰り返す、そうだ、なんと!「JUMPING AT WOODSIDE」だ、カウント・ベイシーが出てきてしまった。確かにスイングするそれも三管でだからまるでビッグバンドなみの迫力だ。

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完全にやられた、この選曲ではのらないはずがない。もうテーマからしてスイングしまくりだ。

さあこれからどうなるやら・・・・・・

<次回に続く>

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