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2010年7月 1日 (木)

エピソード15:「マネー・ジャングル」 デューク・エリントン トリオ

<前回より続く>

今回のジャケットは「マネー・ジャングル」エリントン(P)、ミンガス(B),ローチ(Dr)と言う凄い布陣です。1960年代初めの録音ですが、内容は新しいです。今聴いても斬新です。それがエリントンの凄さです。

エリントンという人は単なるビバップ革命の中心にいたり、ビッグバンドのリーダというだけでは無いのです。

ピアノトリオの構成でジックリと彼のピアノの世界を聴いてみてください。特に「キャラバン」は彼自身の作品であります。そしてこのトリオのこの曲に触発されてピアノの世界に入った人が大西順子さんです。彼女はこの世界からスタートし、自分なりの展開を試みましたが、最終的には、自分自身のオリジナリティにたどり着く所で、彼女は何か悟ったのでしょうか、この世界から引退しました。その後また再起して演奏を開始しています。

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1963年、セロニアス・モンクが初めて来日、時を同じくしてエリントン・オーケストラが来ていました。それを聞いたモンクは、エリントンの宿泊するホテルを訪ね、直立不動で表敬の意を表していました。モンクのピアノスタイルはともすれば特異な印象を持たれますが、この「マネージャングル」を聴いてみてください。スイング感、フレーズの構成、ストーリーの展開、等、共通点の多くが見られます。

強烈な個性の代表選手である、モンクですらエリントンの個性の前にはひれ伏しているのが分かります。

今のシーンで活躍するアーティストは皆ここが原点であるべきではないかと、考えさせられます。

エリントンはビッグバンドで聴くと、エリントン調という色彩の素晴らしさに耳を奪われます。エリントンのピアノの出番も少ないですしね。

でもオーケストラのトーン全てを彼はピアノ一台で表現できるし、かれの頭の中では15人で編成されたグループも一つの楽器に過ぎないという言葉がこのアルバムで解決します

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モンクの個性すら霞みそうです。ベースの荒武者ミンガスも人種差別運動の闘士ローチも、エリントンの前では謙虚で、正に師匠に私淑している様子が、音を通じてシッカリと感じられます。

三人の正にコラボレーション、アンサンブル、相互インスパイアー、素晴らしいの連続です。

このレコードは当時UAレーベルで「マネージャングル」「マタドール」(ドーハム)、「コルトレーン・タイム」(コルトレーン+セシル・テイラー)これが三枚組で3000円で発売されたのです。

<UAはBNに買収されました。そしてCDも再発されました。

以前、銀座山野楽器の店頭でジャズCDの安売りをしていました。約100種程度がバーゲン対象でほとんど所有しているものばかりでしたが、「マネージャングル」に眼が止まり、ライナーノーツを見て、レコードとは異なり、当時のカットされなかったTAKEが入っていました。普通これは私は評価しないのですが、この三人が取り直したTAKEとはどんな物か興味が沸き、購入しました。1300円でした。聴いてやはり驚きました。ミンガスがイントロを弾く、エリントンがやり直させる、このやり取りが記録されています。この三人が当時、どんな雰囲気の中でクリエイティブな作業を進めていたか、臨場感をもって理解することができました。

久しぶりに、レコードとCDを聴き比べたり、一曲を繰り返し、20回も聴きました。ジャズの本質を聴いた感じがします。この感覚を失うことなく、多くのジャズに触れてゆきたいと、心を新たにしました。

17歳の頃に聴いたこのアルバムが、40年後の今聴いたのとは全く違うように聴こえたのは、この40年間の私の変化以外の何物でもありません。少しは耳が肥えたというか、聴ける耳になったということでしょう。

エリントンは難解であるとは思いますがやはり聴くべき価値の大きなアーティストなのです。

このジャケットから聞こえてくるでしょう、「おい、ここはこうやるんだ、そしてここはこうだ」とエリントン、ローチとミンガスがエリントンの一言一句に耳を傾け、理解しようと、正にミンガスとローチが教えを乞うているのが・・・。>

<次回に続く>

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コメント

初めまして。マネージャングルでめぐって来ました。
マネージャングルは刺激的です。
カットの曲はなんとなく、さけてたので今度聴いてみます。

モンクのエピソードもいいですね。

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