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2010年8月30日 (月)

エピソード38:「キラー・ジョー」の巻

<前回より続く>

(「青山ロブロイ物語」という本がある・・・そう以前青山に実存したジャズクラブ・ロブロイの話しをママが書いた、そんな本を週末めくっていた。)

後ろで山ちゃんが、「イラッシャイマセ」と言う声がした、ゼンさんが階段を下りてくる二人を見た、青山で名を馳せた「ロブロイ」のママ、遠藤櫻子さんだ、30年ぶりか、後ろに大きな、肩幅の広い男の影が見えた、誰だろう?ゼンさんは目を凝らした。

なんだか怖そうな人だ。

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後半のステージが始まる前にDUKEさんからリクエストがあった、ドラムの大野がピアノの河田、ベースの山田と打ち合せをしている。

三人が位置についた、自然に話し声が低くなる。

大野のミディアム・スローのカウントで一斉に出た、「KILLER JOE」だ、おなじみの簡単なリフの繰り返しで雰囲気を出さなければならない曲だ。神奈川から来たお医者さんの藪さんが僕もVIBを持参して参加したかった等とKAMIさんに話している。

きっと頭の中はミルト・ジャクソンなのだろう。

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ベニー・ゴルソンの名曲はやはりジャズテットの演奏がゼンさんの頭に蘇ってきた。「ミート・ザ・ジャズテット」だ。でもマンハッタントランスファーの「ヴォーカリーズ」も洒落ていていいな等と・・。

そこに、藪さんから、クインシーの「ウヲーキン イン スペース」のフレディ・ハバートと演ったのがいいなと言う声が聞こえた。

「でもこの曲にのって、ジャズ好きの安部譲二さんが登場したら迫力あるよな」とDUKEさんが言っている。

このブルジーなミディアムスロー、ソロに入っても雰囲気を壊さずに緊張感を保つのは大変である。

ピアノの河田はとっさに考えた、ベースにやらせようと、自分のソロを3コーラス終えるとべースに渡した、そして河田はテーマのリフを繰り返してバックリフをつけた、ベースの山田はその意を即座に理解して弓を取りだし、アルコに変えた、これでベースソロがホーンライクなフレーズになり、ピアノのバックリフと相まって、ミディアムスローな上で自由に暴れられる。ダルにならずにすむ。

ピアノとドラムがテーマリフを繰り返す、そのスイング感に乗ってアルコ弾きのベースが歌う、良い感じだ。

思わず「イェー」という呟きがもれた。ゼンさが声の方向をみた、Bassclefさんだ。

さすがベースの大家、意気通じるところがあるのだろう。

アルコから太い音の4ビートに切り替えて、最後のテーマに入った、思わず大きな拍手が起こった。

店全体がミディアムスローでスイングしている。

続いて、遊びに来ていた、アルトの太田君が参加した。イントロを無伴奏でアルトが始めた、これから何が始まるか、誰にも分からない・・・・皆の耳が集中している・・・・どうもブルースだ・・・そして聞き慣れたテーマにアップで入った・・・「NOW ’s THE TIME」(チャリー・パーカー)だ・・・あまりに有名な曲が始まった。4小節をアルトだけがが吹いて、その後にリズムが加わった。

搾り出す様な音が途切れずにフレーズを創り続ける、キーはFだ、「Fのブルース」だ。

これで店じゅうが盛り上がった。

そして、次の曲、男性ヴォーカルの西郷が立ち上がって参加した、暫しアルトの太田君をいれて打合せを・・・西郷のMC、「では、この店でもヴォーカルを入れるので来週からはそのオーディションをするなんて張紙があるけど、是非応募してね、僕も審査員で参加する、期待の新人を探したいのでね、僕は期待の旧人でもう200万年も歌を歌っている・・・(いつもの冗談だ)では今日は盛り上がったところで、皆さん、お馴染みのこの曲を」

最初はテンポなしで、ピアノと西郷のスキャットで「アランフェス」が始まった、声とピアノの絡み合いで進む、そしてやおら、西郷の右手が腰を叩いてテンポを出した「ワン・ツー・スリー・フォー」、声もアルトもピアノも一斉に出た「スペイン」だ、会場は手拍子になった。

テーマはボビー・マックファーリンばりのスキャットでそれにアルトがユニゾンでつける。

ピアノも河田はアコーステイックのピアノなのに、まるでフェンダーローズの様なタッチで弾いている。

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もう12時を廻っている、だれ一人として帰る人がいない。

もう今日は終わりかと思ったところで、西郷が河田に耳打ちして急に音を落としてバラードが始まった。

「じゃあ、ゼンさんの好きな曲を・・・ミスター・ボウジャングル」(サミー・デイヴィスJr.)

ゼンさんは深夜の店が閉まったジャズクラブでよく、ピアニストに頼んでこの曲を弾いてもらった、心の琴線に微妙に響く何とも言えないこの旋律・・・・思わず一人の世界に閉じこもりたくなるメロディーだ。

歌からピアノソロに入ると河田は知っているのだろう、右手をビハインド気味にして左手でリズムを刻みまるでエロール・ガーナーの様なタッチで弾いている。

「たまらないね、このタッチ」とゼンさんが呟いた。

静かに「KIND OF BLUE」のステージは終わった・・・・・・が、終了しても未だ帰らない一団がいる。

<次回へと続く>

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