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2010年8月25日 (水)

エピソード35:「ジャズとダンディズム、そしてお洒落について」

<前回より続く>

(今夜はゼンさんの思いで話しだ・・・)

そうだ、銀座に「ジャズギャラリー8」ができて、学校の帰りによく寄った、高校生なので三時頃ゆく、店は開いていて、昼間はコーヒーで生の音が聴けた。武田和命、渋谷毅、吉澤元治、富樫雅彦等が汚いカッコで(失礼)演奏していた。ジャズをやる人は皆な貧しいんだ、商業主義に流れずに、安いギャラで自分でやりたい音を出すということは大変な事だなと、勝手に決めていた。だからジャズをやる人間はお洒落ができない等と・・・”ちなみに、渡辺貞夫がバークレイ音楽院から帰国後、初めて音を出したのもこの「銀座ジャズギャラリー8」だ。

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外国からくるアーティストは皆お洒落だ。

そんな高校時代から大学に入ると状況は変わった。

ジャズの好きな女の子も結構いて、バンドをつくると周囲には何時も女性がいる。みすぼらしい格好はできないし、そんな時、日野テルマサ氏が颯爽と登場してきた。

レイバンのサングラスをかけて、音と格好が相まってサマになっている。やはりステージでは格好も大事だと。

でもジャズメンの格好って・・みんな同じようで何処か少し違う、主張があるのだ。

自分のスタイルというものを持っている。それは演奏スタイルでもあり、コスチュームでもあるのだ。

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そうポリシーが音にも着る物にも、生き方にも表現されている、そして他人と同じことや安易な迎合を嫌う。

自分は小学生時代から周囲に「変人」と言われてきたけど、その時になって、「これでよいのだ・・周囲に迷惑をかけているわけでなし」と自信がついた。

その頃はダンディズムとはそのくらいの事と思っていた。

27歳の夏、作家柴田錬三郎氏と知り合う機会を得た。サラリーマンをしていた僕をよく呼び出し、散歩の付き合い、トランプ博打の付き合いをさせられた。

安月給を巻き上げると、飯倉の「キャンティ」でご馳走してくれた。シバレンさんからは「ダンディズム」とは何かを示された。

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教えてくれた訳ではない。シバレンさんは世界のダンディズムの代表は、ブルンメル、ボードレール、リラダンの三人とよく言っておられた。

ゴルフのお伴もした、当時軽井沢クラブの理事長は白洲次郎氏であった。シバレンさんは此処へ行くときは時間を守った。「白洲のじい様がうるさいからな」と。僕は運転手代わりのお伴で行ったが、駐車場で車を枠内からはみ出して駐車した為に白洲さんからお目玉を食った。

白洲さんといえば今、ちょっとしたブームになっているが、当時、時の首相田中角栄のクラブへの入会希望を断った人である。

白洲さんは次のこのクラブの理事長はシバレンが適役だなと良く言っておられた。

でも、シバレンさんの方が先に逝ってしまった。

今になって思うに、日本を代表するダンディズムの二人に生で接触していたことになる。

28歳、29歳の頃のことだ。

僕は、ダンディズムを生のシバレンさんと同時にむしろシバレンさんの著書から影響を受け、学んだ。

「ダンディズムはある種、心意気であり、精神的プリンシパルであり、そのような内面的要素が謙虚に表面化された自己主張表現であると」

ジャズは人と同じである事を嫌う、これはナット・ヘントフの「ジャズ・カントリー」を読めば明解である。

オリジナリティーを尊重する。

鼻のつくような、これ見よがしな、派手な表現はヤボといい、田舎者でキザ者となる。

やはり、抑えて、抑制された表現がイキでダンディーなのだろうと思う。

昨今の社会的な事件、事象を見るに、今の時代にもう一度問われて良いのではないかと・・・・・ダンディズムとは何か?

ダンディズムを身につける裏には、みっともない、恥ずかしい、苦渋と苦悩、若気の至りなどが多々あるはずである。

吉行淳之介氏が著書で曰く、ダンディズムはやり過ぎてはいけない、目だってはいけないと・・。

シバレンさん曰く、「サラリーマンが博打で負けたくらいでクヨクヨするな、ブルンメルはナポレオンが再起できるか否かを賭けた、全財産を賭けた、彼はセントヘレナでナポレオンが死んだと聞くや、全てを棄て軽いあくびをしてサロンを去った、そしてパリへ行ってしまった」、シバレンさんはこの話やリラダンの逸話が好きだった。

いや、まだまだダンディズムを悟るには時間がかかるなと・・・・

<次回へと続く>

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