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2010年9月16日 (木)

エピソード44:「ロージー&フランキー」

<このところ、コンサートづいて、ゼンさんは店を留守にすることが多かった。そろそろまた店に腰を落ち着けてストーリーを元に戻そう>

           ・・今回の話しは1983年の某月某日、六本木のあるジャズクラブであった事実をもとに・・・幻想と妄想と冗談をミックスしたカクテル・ストーリー「Fのブルース」を創造(想像)しました・・・

外は秋風が立ち始めていた。

クラブ「KIND OF BLUE」の中庭にも枯葉が音をたてている。

今日は閑な水曜日、店も半分ほどの席が埋まっている程度だ。

ドラムの大野をリーダーとするハウストリオが最初のステージを終えた。

フロアー係りのヤマちゃんが壁際の席に二人の外国人カップルを案内し、キャンドルに灯をともした。

ゼンさんはピアノの後ろで河田や大野と話していた。

ヤマちゃんがゼンさんに「アレ誰でしたっけ?」と壁際の席を指した。

ゼンさんは目を疑った、「大野ちゃん、ちょっと凄いよ、ロージーだろうあれは」

大野が「うーん、そうだよねどう見ても、ローズマリー・クルーニーだ・・・でも突然か」「間違いないな」と河田が言った。

「ところであの連れの男性は?」と大野がゼンさんに聞いた。

ゼンさんが何か思い出そうとしている・・「そうだ、フランキーだ、フランキー・オルテガだよ」

「エッ、それ誰ですか」ヨーコちゃんが首をひねる。

「うん、ピアニストだ、知らないかな、サンセット77っていうTV番組があったの」とゼンさんが説明した。

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「サンセット77は探偵二人が主人公でね、毎回事件があってそれを解決する話しでね、場所がLAのサンセット通りにある探偵事務所と近くの溜まり場のバークラブ「ディノス」が舞台になっていた、そのディノスのハウスピアノ役があそこにいる、オルテガさ、TVでも弾いているシーンがよくでてきたもんだ」とバンドや店のスタッフに言いながら立ち上がり、ロージーの方に近づいていった。

ゼンさんは、ロージーとオルテガに来店の挨拶をした。

フランキー・オルテガがここに来た経緯を説明した。

実は、豪華客船クイーン・エリザベス二世でショーを開く為に香港から乗り込んだ、そして、昨日、横浜について5日間横浜と東京に滞在すると言う。船の中では毎晩ディナーショーを開いているという。

ゼンさんは次のステージが始る前に二人をお客さんに紹介した。

みんな驚きの声を上げた。「おっ、ローズマリー・クルーニーが来ているんだって」と。

フランキー・オルテガが立ち上がってピアノに近づいた、そして河田に挨拶をした。

河田がどうぞと、椅子をすすめた。

フランキー・オルテガが弾きだした・・・否、キーを叩くのではない、左手でキーを抑え、右手で弦を直接はじいている。まるでハープの様な音を出している。

曲は「MISTY」だ、32小節のテーマを全部この調子で弾いた、そしてアドリブに入ってやおら、普通にキーを弾き始め、大野と山田がバックをつけた。

テーブルのキャンドルの瞬きとオルテガのピアノの弦をはじく響きが同調した。

オルテガは3コーラスをかなりのスローで弾き切った、そしてロージーを呼んだ。

ロージーが何をやるの?と聞いている、ゼンさんが横から「GIVE ME A SIMPLE LIFE」と囁いた・・ロージーがニヤッと笑って、うなずいた。

ロージーはピアノの傍に立っただけでエレガントだ、なんと言う絵柄だろう、ゼンさんはまさか自分の店でロージーが飛入りで歌うとは考えたことも無かった。

特にロージーの髪の毛のウエーブが何ともいえず美しい。

ロージーとオルテガは快適にスイングした、特にロージーの温かい声が包み込んでくる。

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ジャズクラブをやっていると、突然の来訪者がある、そしてジャズミュージシャンはみんな演りたい、だからギャラなんか抜きで飛入りで・・ノレば何曲でも、何時間でも・・そいう場面を何度となく観て聴いてきた。

これがジャズのいいところだ。

次ぎは一体だれがここで歌うことになるのだろう・・・・。

因みに、オルテガは3枚のアルバムを出している。2枚はフランキーではなくフランクとクレジットされている。いずれも同じオルテガだ。

一枚は「SMOKIN’」(+BOB MAGNUSSONALEX ACUNA)もう一枚は「SWINGIN’ ABROAD」(+WALTER SAGE +BURT HUNSON)、そして、「Twinkling Pinkies」(+WALTER SAGE + CARL TANDBERG)いずれも小粋なジャジーなピアノトリオで僕の隠れたフェバリット盤だ。

ローズマリー・クルーニーにいたっては何枚出しているのだろうか?

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<次回に続くのだ・・・>

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