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2010年10月 1日 (金)

エピソード47:「Golden earring」

<前回より続く>

(本当のようでウソの話、ウソのようで本当の話・・入り乱れての「KIND OF BLUE」にようこそ!)

「KIND OF BLUE」の夜はふけていった。

河田吾郎トリオに飛入りゲストの宮路春樹のギターが加わってグルーブが止まらない。

お客も、奏者も一体になってノッテいる。

12時前のパワフルなノリから、深夜の落ち着いたノリに変わってきた。

そんな時、河田は「ゴールデン・イヤリング」を弾き始めた。

そう、RAY BRYANTで一躍有名になった曲だ。

哀愁をおびたマイナーキーでエキゾチックな、でもエレガントなメロディー、一度聴いたら忘れられない旋律だ。

(ヴィクター・ヤング作曲、マリーネ・デイトリッヒ主演の同名の映画主題曲、ペギー・リーでヒットした・・、とライナーノーツより)

河田はオリジナルより少し遅いテンポで引き出した。サビをトレモロを続けながら盛り上げていった。

彼のアイディアだ。

ソロは宮路のギターから入った。宮路も、河田もテーマの哀愁をそのままにアドリブフレーズを創ってゆく。

大野のブラッシがシンバルを打つ響きが、テーブル・キャンドルの灯を瞬かせ、旋律ともシンクロナイズして煌いている。

RAY BRYANT、ブルースの名人とでも言おうか。スタンダードを弾かせても、ブルージーな哀愁を反映したソロは見事である。

1015_052

PRESTIGE7098:「RAY BRYANT TRIO」咥え煙草のRAYがジャケットになった名盤だ。1957年4月5日録音、

B:IKE ISAACS、

DR:SPECS WRIGHT

(A面)

1、       GOLDEN EARRINGS

2、       ANGEL EYES

3、       BLUES CHANGES

4、       SPLITTIN

(B面)

1、       DJANGO

2、       THE THRILL IS GONE

3、       DAAHOUD

4、       SONAR

あえてA面とB面と記したのは意味がある。

曲順を良く見て欲しい、A面から聴いて、一旦裏面に替える、少しの間がある。

そしてB面に入る、最初が「DJANGO」で始る。

曲の構成と順にもアルバムの意味があるのだ。そしてアルバム自体が作品となっている。

つまり、一枚の絵、一冊の本を創るのと同じ創作思考と努力がなされている。

この「GOLDEN EARRING」があまりに有名になり、僕自身もこの曲をコピーしたことがある。

始めて聴いてからもう40年以上経って、僕はB面の二曲目(CDなら6番目)、「THE THRILL IS GONE」に耳が釘付けになった。

ここに久保田高司氏のライナーノーツからこの曲の紹介を引用させてもらう。

[リュー・ブラウンとレイ・ヘンダーソンによって作られたこのバラードは、多くの歌手によって吹き込まれている。本来この曲は唄われるべき性格をもつ失恋のバラードだが、ブライアントはこの歌をまったく自分のものとし、ピアノで唄うことに成功しており、それがこの演奏から受ける感動の源となっているのだ。]

この文面以外になんの表現があろうか、この曲を「GOLDEN EARRING」以上に哀愁をおび切ないメロディーに仕上げている、特にテーマを弾く際に、そのテーマ・メロディーを装飾するフレーズで鳥肌が立つのを覚える。

RAYは1931年生れである、録音は1957年である、26歳の時の演奏である。

26歳でこの音楽的解釈と表現ができることに再び驚いた。

自分が26歳の時にこの様な表現ができたであろうか・・・。

即興的音楽表現は技術ではない、感性以外のなにものでもない。

まさに驚きである。録音から50年、今聴いても新鮮だ。

<次回へと続く>

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