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2010年10月 1日 (金)

<ゼンさんのぼやき、欄外編>

<前回より続く>

(ゼンさんの独り言、ぼやきごと・・・)

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いつだったか、上原ひろみとチック・コリアのデュオを聴いた。

題材は、アランフェスやスペインを題材にした、即興的インプロビゼーションを試みた。

私はガッカリした、上原ひろみはジャズ・ミュージシャンではなかった、否、芸術家ではなかった。

ピアノが上手い下手を言っているのではない、既成概念から出られないと言うことを言っているのだ。

2台のピアノで向かい合い、せっかくチックが枠を越えて、フリーにできる状況とテーマを作ってくれているのに、上原ひろみ個人の枠から出られない・・・あたかもチックと音で会話をしているかの様であるが、チックが「もっとやりたい様にやれ、音楽という概念を壊せ」と言っているのが聞こえてない、それが僕には聞こえる・・・だから聴いていて、こちらはフラストレーションが溜まる。

その内に勝手にテーマのメロやトニック(母音)に戻ってしまう。

そこにはジャズの本質、インスパイアーもインプロビゼーションも無かった、綺麗に整った音列があるだけで聴く者に何も伝えてこなかった。

ピアノのテクニックを聴きにあるいは見に行ったのではない、感じに行ったのだ。

もっと言わせて貰えば、チックの「もっと自由に」というフレーズにインスパイアーされ、鍵盤を肱で叩こうが、鍵盤に乗って足で弾こうが・・・山下洋輔ならきっとそうしたに違いない・・・と思う。

そして、チックにももっと枠を壊せとインスパイアーしたに違いない、チックは喜んで枠を飛び出したろう、チックはそれを期待していたのだし、それがジャズの意味であることを理解しているから。

音色にもフレーズにも何の感動もない、ただ早く弾けるだけなら、ジャズではない。

以前、ミシェル・カミーロとも共演したことがあると記憶するが、まあ、カミーロあたりと、超絶技巧を競っていればいい。

ディージー・ガレスビーが自分の誕生日のコンサートを開催した、その時にインタビューアーがガレスビーに聞いた、「良いジャズとは?」。

ガレスビー曰く「自然に心と身体が動く音楽だ」。

概念や様式ではない、生理的な観点からの解答だ。国内も外国でもジャズ・ミュージシャンはもう一度この点を考えて、原点に戻って欲しい。否、最近のレコード会社の方も考えて欲しい。

ジャズという芸術作品を創作するのか、ジャズぽい(雰囲気だけの)イージーリスニングを制作するのか?

「似て非なるもの」・・・まがい物のジャズはいい加減にしてほしいと思う日々である。

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50年代、60年代のジャズにはこの核心(CORE)があった。だからジャズミュージシャンは悩んだ、人と同じ事は無意味、独創性を毎晩の様に問われ、昨日と同じ演奏はできない・・・だから壁にぶち当たり、日々創造という作業に悩んだ、故に麻薬に頼り、酒に溺れ、自ら命を絶つ者も少なくなかった。

マイルスとマイルス的は似て非なる、どころか、卑しむ存在である。

モンクのピアノをそっくりに真似して弾いて誰が喜ぶというのだろうか・・・・。

ジャズにかかわる者は今一度、ナット・ヘントフ著「ジャズ・カントリー」を読むがいい。

<ゼンさん、ちょっと調子にのって怒りすぎの図>

<次回へ続く>

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コメント

jazzmadjiro
読ませていただきました。全く書いている通りだと思います。今のバークレー帰りの若手ミュージシャンに感じます(全てではありませんが・・・)  技術力は聴く人をビックリさせる事は出来ても、感動させる事は出来ないと思っています。 shinさんに乾杯!!(*^-^)

いや、ジャズのプロベーシストのJazzmadjiroさんに同意を頂けると嬉しいです。

方法論や道具の使い方は上手くても、伝える内容が無いと、何も感じません。
方法論や道具の使い方が少々下手でも、伝える内容が良いと、聴く方も納得したり、楽しめたり・・・。
特にジャズはそれが顕著ですね。

これからも、当ブログを、プロの観点から宜しくお願いします。

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