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2010年11月12日 (金)

エピソード64:「無頼庵 青紫朗 見参!」の巻

<前回より続く>

<いよいよ、空想と妄想のジャズクラブで何が起こるか、何が始まるか・・・ジャズ界の仕置き人登場か!・・・想像力、創造力、妄想力、空想力、出まかせ力を総動員して・・・新たな登場人物が・・・・>

金曜の「KIND OF BLUE」は常連で混みあっていた・・といっても所詮30人で満員だ。

コメント常連のDUKEさんやKAMIさん、BASSCLEFFさん、しんじさんもテーブルを囲んで休憩時間にジャズ談義だ。

最近ではMIXIからの常連客もよく店にきてくれているようだ。

ハウストリオの河田吾郎、ドラムと大野、ベースの山田といつもの顔ぶれが次の曲を決めていた。

「枯葉って、スタンダードではかなり録音されているよね」って、ベースの山田君が切り出した。

「そう、ティモンズなんていいよね」と河田、大野は「やはりマイルスの印象が強いな」と、「次にやってみる」「イントロは何かつくろうよ」とゼンさんが加わった。

「じゃあ、俺がリズム無しで、スローで何か8小節弾くから、そしたら枯葉のテーマに入るのインテンポで・・・」と河田が言い出した。

「じゃあ、時間だから」と大野がドラムの椅子に座った。

Timmons_in_person

ザワついていた店内が少しづつ静かになって、ローソクの煌きだけが揺れている。

吾郎が、「SMILE」をシングルトーンでユックリとメロを辿った・・・8小節目で音を止めるとベースがミディアムファーストのテンポで高音がら半音階下降で下がりながらFまでもってくると、そこで全員が「枯葉」のテーマに入った。テーマから凄いスイング感を感じさせる冴えた入り方に思わず「イエェー」と声が掛かった。

吾郎のソロは延々と6コーラス目に入った、益々ベースが絡む、ドラムが煽る、吾郎の三連符が大きな弧を描く、お店中がスイングを始めた瞬間だ、これがこの店「KIND OF BLUE」の本領発揮だ。

ベースにソロが廻る、山田君は1コーラスをピッチカットで2コーラス目からアルコで弾き出した。

アップテンポでありながら音色に哀愁が篭っている・・・最近にないグルーブ感が漂っている、続いてドラムとの4バースになり、最高潮に盛り上がってゆく。

そんな時、青紫がかった絣の着流しに何やら細長い筒を背負った、長髪をポニーテールにしたヒゲ面の男が階段を下りてきたことに気付いたのはゼンさんだけだった。

演奏が白熱している中で、ゼンさんは「久しぶり」と小声で言った、男は静かにうなづいて、背負った長い筒をおろし、カウンターの横にこしかけた。締めた角帯には何やら刺繍をした脇差の袋ような物を挿していた。

延々20分におよぶ「枯葉」が終わり、お客がヤンヤの喝采をおくっている。

吾郎がチラッとカウンターの横の男をみた、「やる?」、声はでていないが、しぐさでわかる。

男は、長い筒から、金色に輝くソプラノ・サックスを取り出した。

皆が、変なヤツが・・と思っている、何しろ着流しの男・・・今日は「着物でジャズ」の日ではないのだ。

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マウスピースをつけながらピアノの横にたった、「何?」と吾郎が聞いた。

男が静かに言った「Dナチュラル・ブルース」、途端に出だしのテーマ、4小節を一気に吹いた、ドラムの二拍のロールを合図に全員が入った。

引き締まった空気と、緊張感のあるブルースが始まった。

音数はそれほど多くはないが、ノリのタイミングに緊張感がある、いつになく、ピアノのフィルインが鋭いし、ドラムのアクセントもきつめに入ってくる。

その男は静かに目を閉じたまま、ブルージーなフレーズを吹くというより置いてゆく。

フレーズの合間に微妙な間を置く、その間が聴く者をじらせるが、それがまた心地良い。

「惹きつけられる音だね」と常連のマナブ君が言った。

「でも一体何物なの、あの人?」とデザイナーの京子ちゃんが言った。

少ない音数から徐々にエキサイティングな音量とフレーズへと上り詰めてゆく、ドラムのシンバルとバスドラのコンビネーションが重く大きなスイングを生みだしている。吾郎のピアノも低音部での展開が多く、ピアノの左手にベースのアクセントが絡む、全体で複合リズムを作り出している、その上にソプラノの高音がコントラスト鮮やかに訴えている。ソプラノサックスの音が一音一音、空気を斬っていることには変わりない。

「無頼庵 青紫朗さんっていうんだって、マスターの古い友人らしい」とスタッフのヨーコがマナブ君に囁いた。

<謎の人物が登場・・・次回に続く>

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