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2010年11月22日 (月)

エピソード67:「篠笛」の巻

<前回より続く・・・荒唐無稽なフリージャズ的ブログ小説・・・さあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい・・御代は無料・・払うは自由だ・・幾らかおいてけドロボー!>

小春日和の昼下がり、青紫郎が港区のとある繁華街から少し入った静か住宅街の往還を歩いていた。

今日は背中にソプラノサックスの筒を背負ってはいない、脇差風の西陣織の煌びやかな笛袋だけを腰に差している。

とある、門の脇に姿のいい見こしの松のある日本家屋に入っていった。

青紫郎は10畳ほどの日本間に正座していた、その向いに座っているのはもう80歳にならんとする村上アヤである。

福原流 篠笛の重鎮である、村上アヤは普通弟子をとらない。

ある日突然、玄関に現われた青紫郎を見て、一度は断わったが二度目に現われた時に座敷に上げた。

襖戸を開けて部屋に入ると端座とはこのことだと思える姿勢で30分を待ちつづけた。

アヤの試験の一つであった。

続いて、笛を出させ、基音を出させた、唇の当てかた、息の吹き込みに難点があったが、ロングトーンにブレがなかった。基本は習得が終わっている、それを確認してアヤは青紫郎を弟子にした。

村上アヤは鼓の名人でもあった、篠笛の基本技術を教え、むしろその笛に併せてアヤは鼓を打った。

篠笛と鼓の絶妙な間合いの練習をした、その合間に唇と笛の確度、唇の形などで音色の変化をだす技術をおしえた。

そしてフルートでいうところのタンギングは篠笛では「指打ち」という技術でだす、息の吹き込みと孔を指で叩く、このタイミングでタンギングと同じ効果をだせる。

今日はその練習が主だった。

<写真は篠笛の演奏場面>

090618_001

「唇と笛口の角度がちがいます、右手が下がります」毅然と注意する。

ロングトーンを出しながら、笛の角度と息遣いを変えることでスラーをかけて半音を上下する、指のポジションでの半音だと西洋音階を表現するには良い、しかし、青紫郎はもっと妖艶で無我の世界の音を表現したかったのだ。

「しかし、エリックはんの音色は七変化どすなぁ」京都なまりが混じった言葉でアヤは思わぬことを口にした。

そう、エリック・ドロフィーのフルートをしっていた。

「さあ、稽古は今日はここまで、青紫郎はんのメロディーを聴かせてください」

青紫郎は一度背筋を伸ばし、息を静かに吐き出しきった。

「サマータイム」をノーリズムの世界で展開した。

メロディーの美しさを透明感をもった音色で吹ききった、アドリブに入った、ブルーノートやフラット5の音をスラーをかけて半音をずらし表現した。

一瞬、早いパッセージを吹いた、そして最高音へ運ぶとき、息の吹き込みと指打ちで細かいタンギング音を表現した。

音色に独特の煌きが走った。

エンディングは半音ずつ下降させ、7THの音で余韻を残し終わった。

「結構な音色どすなぁ、でも少し怖い音どすなぁ」

「怖い?」

「そう、音の中に殺気みたいな気を感じます」

しばし目を閉じて、「まだか・・」と独り言のようにつぶやいた。

<次回につづく>

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コメント

私は「読み逃げ」は、いたしません(笑)。
おもしろいお話をありがとうございます。

続きを楽しみにしております。

コメントありがとうございます、頂くコメントが何よりのエネルギー、感謝であります。(笑)

デユークさんところから来ましたが、、、
正直言って あまり面白くないブロクですねエ

でも 不思議と 感性に近いものを感じます。。。。

emikoさん

そうですね・・あまり面白く無いブログですね。
Dukeさんのブログに比べると、ブログ性は無いし、ダラダラと続く、妄想のお話ですから、90%は自己満足小説です。(笑)
すべて、自分中心で、こうなら良いなという事実に基いた荒唐無稽なお話です。(笑)

時として、このコメント欄に来た方々もお話の中に登場させちゃいますので、ソノ際には悪しからず。(笑)

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