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2010年11月 9日 (火)

エピソード63:「馬さんが・・・フト立ち寄って」の巻

<前回よりダラダラと続く・・・>

幻想と空想のジャズクラブ「KIND OF BLUE」は今夜も満員だ。カウンターにはいつものご常連が陣取って屁理屈をこねている。テーブル席も満員だ。仕事なんてやってられるか・・という御仁が開放感をジャズに求めてやってきている。

なんで此処に来るのだろうか・・・もっと静かな所へ行っても良いようなものを・・とゼンさんは内心思っていた。

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ゼンさんは気がつかなかったが、一人の外人客がカウンターで常連に挟まれて一人飲んでいる。

ハウストリオの河田吾郎トリオは今最後の曲をやっている。

晩秋の時期に逆らった訳ではないが「SUMMERTIME」である。最初はスローで始まったが途中からバイテン(テンポを倍にすること)にして、ミディアムアップのテンポになっている。

河田のピアノがネバリに粘って、ゴスペル調の「SUMMERTIME」になっている。

フレーズがコール・アンド・レスポンスのになってくると、会場から「イャー」とか「イェー」とレスポンスが返る。

ドラムの大野は三連にして益々粘る、店全体が粘りスイングになる瞬間だ。

「ジャズはこうじゃなきゃ」・・DUKEさんがつぶやいた。KAMIさんが「いいねえ、このネバリ!」という。

やがて、三連がルバートして、テンポがオフになり、エンディングに入って、最終音でダダダダダーンと終わった。

拍手が高まって、そして休憩に入った・・・・・・その時、静かに聴いていた、一人の外人がカウンター席から立ち上がり、ピアノに近づいて行った。

普通なら、「お客さん、ダメです」と酔ってピアノに近づく人を制するのだが、誰も止めようと言う空気がなかった。

ピアノの河田や大野も何が起きるのか、見つめてしまった。

彼はピアノに座ると、やおら大野と山田を見た、彼らは何かに取り憑かれたように楽器についた。

踵でテンポを出した、かなりのアップテンポだ。

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頭からテーマに入った、「I GAT RITHUM」だ。

軽快なノリで進んでゆく、音の構成が厚く、コードワークが巧みだし、ソロのフレーズが途切れない、加えてありきたりの展開をしない。

「いったい誰なのだ・・・そういえば・・・どこかで見たことがある顔だ・・・」ゼンさんは自分の頭の中で一生懸命確認をした。

「本当だろうか・・・そんな事があるのだろうか・・」、ゼンさんは目と耳を疑った。

ソロは一層軽快に快適にスイングし、止まるところを知らない、お客は皆、ピーターソンを意識したのではないだろうか。

ソロのアイデイアがたまらない、面白いし、スイングの弧が大きいし・・・。

そして、最後のテーマに入った、最終小節で繰り返し、盛り上げて終わった。

一斉にお客から歓声が上がった。でもお客は彼が誰だか知らない・・・。

ゼンさんがマイクを取って・・・「みなさん、今日の飛び入りゲスト! ハンプトン・ホーズ!」

「アンコール!」場内から一層の歓声が・・ベースの山田君はホーズと知って、目を白黒させている。

「馬さん」こと、ハンプトン・ホーズは終戦直後、横浜の基地に進駐軍として来ていた。

よくライブハウスや「ちぐさ」に現れては日本のミュージシャン達に多大な影響を与えた。

場内が静まったのをみて、馬さんが弾き始めた「GREEN LEAVES OF SUMMER」だ。

レッド・ミッチェルとの名コンビでの名演奏は数多く残されて、今も我々はそれを楽しむことができる。

(そう言えば先だって横浜で「ちぐさ」を復元するイヴェントがあり確か2週間だけアノ「ちぐさ」を元通りに復元したのだ・・・仲間が多くあつまり盛況だった)

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<次回に続く、次回は誰が霊界からゲストで来るのだろうか・・・。>

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