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2010年12月 3日 (金)

エピソード69:「ブルースの真実」の巻

(前回より続く・・・)

<幻想と妄想のジャズクラブ「Kind of Blue」にようこそ・・・ここでは、ジャズに関しては何でもありの・・・大いなるウソをお楽しみください! 中傷誹謗大歓迎、罵詈雑言大歓迎、もらい物大歓迎・・・お世辞も大歓迎です。>

冬の夜空に満点の星、キッリとひきしまった夜風が心地よい。

夜9時過ぎに青紫郎が、ゼンさんのクラブ「Kind of Blue」にやってきた。

ハウストリオの河田吾郎のピアノが「On a clearday」を弾き始め、2コーラス目のソロを取っていた。ミディアムアップのテンポにのって軽快にスイングしている。

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青紫郎は相変わらず青紫の着流しで帯に篠笛を挟み、背中にはソプラノを筒に入れて背負っている。

ポニーテールで手入れの行き届いた髪は半分はもう白いものが混じっていた。

ゼンさんがココとピアノ後ろにある丸いテーブルを指した。

店内はほぼ満員状態でキャンドルの煌きに皆の顔が上気しているのがわかる。

もう一人後ろについて入ってきた外人がいる、やはり楽器のケースを持っている。

ベースの山田とドラムの大野が青紫郎に会釈をした。

ゼンさんは何も言わずにドライマティーニのグラスを一つ青紫郎の前においた。

そして、もう一人の男と一言二言、ゼンさんはカナディアンクラブ・・・CCをロックのグラスに注いで置いた。

On a cleardayのエンディングで半音上げて転調しかなり泥臭いフレーズでブルージーに終えた。

「オッ、イエッ!」と掛声が掛り拍手がおきた。

河田吾郎が振り向いた、そして促した、青紫郎はソプラノではなく、篠笛を出した、もう一人の男はテナー・サッスクを取り出した。64年製のフランスセルマーにラーセンのマウスピースをつけている。

その男が曲を指示しテンポを出した。

「ストール・モーメンツ」だ。

篠笛とテナーが微妙な4度のハーモニーを作り出している。

このブルースにして、そのブルース色を敢えて殺し、何処までブルースコードの中でペンタトニックの展開をさけ、泥臭いフラット5を避け、でも如何にブルースにするか・・・これが大いなるブルースの実験であるのだ。

青紫郎の篠笛のソロは、音数を減らし、耽美なまでのフレーズを、正に置いてゆくという表現がピタリだ。

しかし、ピアノとベースはあくまでもブルースの進行をドッシリと守り、ミディアムスローのスイング感を出している。

大野のドラムは左手のオカズをスネアのリムに近くで叩くことにより、甲高く抜ける音でフィルインしている。

その日、店内にいた全員がその音色とフレーズにのめり込んでいた。

3コーラスの篠笛のソロを終えて、テナーの男にソロを渡した。

その男のテナーの音色はよく抜けるクリアーな金属音で音に伸びと哀愁があった。

フレーズにはあまりブルーノートを使ことなく、ブルースコード載せて、正に哀愁のフレーズを積み重ねていった。

山田のベースがこいう時は大事だ、太い音でベースラインをつくり、音をシッカリと伸ばし、しまったタイム感でスイングさせなければならないし、またそれが軸になって、ドラムもピアノもミディアムスローのスイング感をだすのだ。

テナーのソロは3コーラス目に入っている。

その時、聴き入る皆の顔にまさかという表情が浮かんできた・・・。

そのテナーのフレーズは高音から低音まで、伸び伸びとユッタリとしたフレーズで吹き語られてゆく。

その後でピアノは1コーラスだけソロを取ったというより、最後テーマに入るお膳立てをした。

「ストールモーメンツ」が、あの伸びのあるテナーの音色とフルートよりより芯の在る高音を篠笛が出してテンションを高めてメロディーが演奏された。

テーマの最後のフレーズは思いっきりブルーノートをかませて終った。

拍手は静かに始まった、そして長く続いた。

ゼンさんがマイクを取った、「Ladies & Gentlemen,Oliver Nelson!」

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その時、ドラムの大野が声をかけた、「ホー・ダウン!」

ネルソンのテナーと青紫郎のソプラノが一斉にアノテーマを吹きだした。

アルバム「ブルースの真実」は名盤である、オリバー・ネルソンはこの一枚で名を上げた。

このアルバムには正にブルースとは何かというイディオムが沢山詰まっている、そしてジャズの原点と基本はやはりブルースだということを実験し証明している。

エリック・ドロフィーの存在もフレディーハーバートの存在も前衛的でありながらブルースであり、ピアノがビル・エヴァンズでありながら、そのハモにブルースの芯をたたき出している。

チェンバースのベースは軸になり、ロイ・ヘインズのドラムは歌っておりファンキーでさえある。

周囲が皆、モード手法に流れ出した時期、もう一度ブルースの限界に挑戦した大きな意義をもつアルバムが「ブルースの真実」だとおもう。

<次回に続くのだ・・・青紫朗よ何処へ行く・・>

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コメント

いつの日か、もしもそんな機会があったならですが・・・、shinさんの解説を聞きながらジャズ・セッションを楽しんでみたいものです。
そういうことでもあれば、本当の自分の勉強になると思いました。

ただまゆさん

コメントありがとうございます。
ジャズ好きは能書きと屁理屈の多い人が・・・私に語らせるとジャズを聴く閑がなかったりして。(笑)

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