« エピソード73:「閑話休題・ジャズとタンゴとフラメンコ」 | トップページ | エピソード75:「ふたたび」 »

2010年12月28日 (火)

エピソード74:「ジャズを聴いて50周年記念、~たかがジャズ・されどジャズ~」

<前回より続く>

・・・今回は年末年始にあたっての回想と抱負でありますが・・・

私が意識して生のモダンジャズを初めて聴いたのは1961年1月2日である。

50年前の話しである。

場所はサンケイホール、勿論、「アート・ブレイキーとジャズメッセンジャーズ」である。

当時、流行していた「モーニン」のメロディ、この原点ともいうべきグループがやってきた。

私は、中学校の友人の軒口隆策に誘われて、晴れやかな正月なのに坊主頭に学生服を着て行った。坊主頭は校則で浄土宗の教えが基本になっている学校ゆえ、入学時に5分刈にして入学式に臨んだ。東京タワーのふもとにある中高一貫の私立芝学園では高校生になると髪の毛を伸ばすことができた。

そして、当時、外出は学生服しかなく、シャレタ私服など持っていなかったし、親も買ってくれなかった。

Jazzvtrjm61

正月早々に、今や大人の世界では流行の先端をゆく、モダンジャズの本家、ジャズメッセンジャーズがやって来る・・となれば、皆、正月のお洒落ないでたちを一層着飾り、サンケイホールのロビーはそんな大人の男女で賑わっていた。

一斗樽が開けられ、枡酒が振舞われていた。

友人の軒口君と、俺たち場違いみたいだな、とロビーの隅から大人達を観ていた。

所が、中学一年生と言えども、軒口君の批判的観察眼は当時から鋭く、着飾った大人の弱点を探し出しては、揶揄するような評価を私の耳元で囁いたものだ。

「あの男、かっこつけているけど、さっきあの女に言い寄って嫌がられていたぜ、ぎゃはははっ」ってなもんである。

最初のベルが鳴り、場内へ入るようにアナウンスがあった。

この時は初めてということもあり、前売りでS席3000円を奮発して購入していた。

前から4番目の上手側だ。

周囲の大人たちは、これ見よがしに知ったかぶりを披露し、連れの女の関心をかおうとしていた。

というのは、当時、女性はモダンジャズなどをあまり聴く機会がなく、また興味もなかったのだろう。少なくとも女性にモテル音楽ではなかった。

それが証拠に、モダンジャズ喫茶に女性が来店することは希であった。

そこへゆくと、現在、ジャズクラブの大半がオバサン勢力で埋められているのは隔世の感がある。

そんな状況で聴いた初めての生のモダンジャズの音色は強烈だった。

5人の音の大きさ、テンポの速度感、演奏技術の高度さ、特にドラムという楽器の迫力!

身体の中で鳥肌が立つような、ゾクゾクする感覚は何だろうかと・・・一切を音の洪水に飲み込まれ、ただ呆然と音を追った。

リーモーガンのハイノート、ショーターの迫力ある低音、ボビー・ティモンズの早弾き、そして御大、ブレイキーの音の大きさと速さ・・・。

そんな音に飲み込まれて、爾来50年、その洪水の中に居続けることとなった。

昼飯抜きで、学校帰りにレコード屋へ通い、ジャズ好きの4人でカルテットを結成した。

自己流でピアノを弾いて47年にもなる・・・のか・・・。

同じレコードを聴いても、年齢、聴く状況、環境・・それで毎回違う印象を与えてくるジャズとは一体何なんだろうか・・・。

時には癒しとなり、励ましとなり、勇気や元気をもらい、共に泣き、共に笑い、共にはしゃぐ・・・

生の音に魅せられて、やはり生を聴かなくてはと・・・レコード買うより現場にゆこうと・・30歳台では、1年に200日もジャズクラブへ通い・・・ミュージシャンとも懇意になり・・互いに人となりを知るに、ジャズは一層深みを増すことに・・。

盟友、ドラマー大隅寿男とは六本木の「ミスティ」や「バランタイン」で出会ってもう40年近くになる。知人は友人となり、家族づきあいとなり、盟友となった。

Img_0001

そう、50年前にあのステージの上でドラムを叩いていた、アート・ブレイキー・・後年、その本人と知り合うことになるとは・・・。

多くの、外国人ミュージシャンとも知り合い、日本人ミュージシャンとも友人になり・・・多くのジャズファンとの交友関係が築き上げられ・・・自分の人生の中でとても大きな部分を占めることになってしまったジャズ・・・。

今度はそのジャズを通して、自分を表現する時がきたかと・・。

自分の薦めるジャズを語り、ジャズのよさを語り、若いミュージシャンを発掘し、良いジャズを紹介する・・・。

映画「ふたたび」に描かれていたストーリーはまるで自分の心象風景を丸写しにされたような感じだ。

高校生の時のカルテットはもう組めない・・・アルトの軒口君もドラムの小林君も、もうこの世にいない・・・。

070317_008

50年の間には、彼らだけではなく、もっと多くのジャズ仲間がアノ世に行ってしまっている。

プロの人たちもそうだ・・・一緒に演奏してくれた、白木秀雄さん、日野元彦さん、・・・、

そして、最初の音を聴かせてくれた、アート・ブレイキー、夜中に中華料理をご馳走してくれたアート・ファーマー、ブーツを一緒に探しに行ったアニタ・オデイ、末期ガンと知ってのラスト・コンサートを手伝った、アイリーン・クラール、峰純子さん、そして本田竹広さん・・・。

2010年にも、ジャズで知り合い、意気投合しあった、私より10歳も若いアルト吹きのN君がアノ世へ行ってしまった。

まだまだ、ジャズを語り、一緒にセッションをしたい人だった。

Stbshin_0004

これがジャズに溺れて50年間に起こった出来事のほんの一部だ。

いつの間にか、レコードで家は溢れかえり、ジャズ関連本の山となった。

ついこの間まで若いと思っていたミュージシャンも中堅になり、次の世代が登場してきた。

青木弘武君(ピアノ)、山口彰君(ベース)、ハクエイ・キム君(ピアノ)、生沼邦夫君(ベース)、山本剛君(ピアノ)、金子健君(ベース)、森泰人君(ベース)有馬すすむさん(ピアノ)、村上寛さん(ドラム)、鈴木良雄さん(ベース)、増尾好秋君(ギター)、岡田勉さん(ベース)、坂井紅介さん(ベース)、菅野邦彦さん(ピアノ)、稲葉国光さん(ベース)類家心平君(トランペット)、佐瀬正君(ベース)、日野照正さん(トランペット)、直居隆雄君(ギター)、大隅卓也君(アルト)、田中信正君(ピアノ)、中本マリさん、金子晴美ちゃん、マリーン、細川綾子さん、高樹レイちゃん、平賀マリカちゃん、青木カレンちゃん、山口真文さん(テナー)、田村和大(ピアノ)、リチャード・パインさん(アルト)、大友義雄さん(アルト)、ドーリー・ベーカーさん、八木隆幸さん(ピアノ)、井上陽介君(ベース)、佐藤浩一君(ピアノ)、香川裕史君(ベース)、太田剣ちゃん(アルト)、本田富士夫さん(ピアノ)、東郷輝久さん・・・名前を挙げればキリが無いまだまだ沢山いる、ここに挙げた倍以上はいるだろうか、みんな良い人で、会えば楽しく話をしてくれる、そんな気さくなアーティスト達だ。

Ohsumi_albam_008

また、今年はハクエイ君の「トライソニーク」のお陰で、ベースの杉本智和君とドラムの大槻カルタ君とも知り合うこととなったし、不思議な縁でトランペットの黒田卓也君を応援することにもなった。

この他にレコード会社の方々やプロデューサーとも知り合うこととなった。

Dscf0556

ジャズを好きになり、聴き続けることは大きな無形財産となって後ろに残っていた・・・。

ジャズを聴いて丁度50年になる2011年、私は勝手に「ジャズを聴く会」という会をつくり、勝手に自分で「代表」となることにした。

会員入会の条件はない・・誰でもジャズが好きならいい、自称で結構、入退会自由、日本中のジャズクラブやジャズ喫茶に来た人が仲間になり知り合いの輪が広がってゆけばよい。ジャズ好きに悪いヤツはいない。

090418kindofblue_005

さあ、これから又、50年間ジャズを聴くことにしよう!

そして、ブログ「Fのブルース」も装いを新たに、「私の好きなジャズ」を強制的に皆さんに押し付けるブログとしよう。(爆笑)

じゃあ、新年も宜しくお願いいたします。

今年の年末、大晦日に聴くジャズは・・・武田和命「ジェントル・ノベンバー」に決めた・・・。

Gentle_novenber_

<次回へと続く>

« エピソード73:「閑話休題・ジャズとタンゴとフラメンコ」 | トップページ | エピソード75:「ふたたび」 »

「音楽」カテゴリの記事

コメント

shin さん、明けましておめでとうございます。昨年はお会いでき、ますます距離が縮まりましたね。

ジャズ批評誌のshin さんの記事を拝読しました。アート・ブレイキーの衝撃からハクエイ・キムさんのメジャーデビューまで、関わった全てがジャズですね。たかがジャズ、されどジャズ、人生観を変えてしまったジャズと今年もとことん付き合いましょう。

「ジャズを聴く会」会員ナンバー001のデュークでした。

今年もよろしくお願いします。

dukeさん

新年早々のコメントありがとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。
なんだかんだでジャズを聴いて50年も経ってしまいました。
光陰矢のごとしです・・・。
こうなったらもうヤケクソで死ぬまで聴き続けましょう!(笑)
今更音楽のジャンルを変えてもしょうがないですし。
「たかがJAZZ されどJAZZ」の心境にドンドン近づいてゆきますね。

Dukeさん、追伸、「ジャズを聴く会」会員番号001番了解です。
私は単なる世話人代表につき、001番と自称会長は複数になるものと思われます。(笑)

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1371081/38245089

この記事へのトラックバック一覧です: エピソード74:「ジャズを聴いて50周年記念、~たかがジャズ・されどジャズ~」:

« エピソード73:「閑話休題・ジャズとタンゴとフラメンコ」 | トップページ | エピソード75:「ふたたび」 »